教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

ICTの導入にワクワクしてほしいと思う

 研究員の為田です。先日、公立高校の先生方向けのセミナー講師をさせていただきました。セミナーの最初に、「ICTが教室に来ることに、ワクワクされてますか?」と訊くと、あまり芳しくない感じのリアクションでした。
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 教室に新しいテクノロジーが来ることは、先生方にとってワクワクするものになるといいなあ、といつも感じています。僕が小学校の時に、学校では放送室の機器が新しくなって、校内放送が児童の手でいろいろ行なわれたりしました。先生たちも楽しそうにやっていたし、僕らも楽しかったです。あんな感じでやれないのかなあ、と思っています。
 放送室の機器も、どの先生でも使いこなしている、という感じではなかったけれど、でも中心になる先生にいろいろと助けてもらいながら、やっていたんじゃないかな、と。

 学校にタブレットが来る、児童生徒が1台ずつ持つ、というのは確かに大きな変化です。最初は、それをワクワクする先生が自由にいろいろ使ってみる。その後、最初は使わないっていう先生が、他の先生が使っているのを「ああ、こういうふうに使えるのかあ」って見てる、くらいな時期があってもいいのかな、と思います。
 大きな予算がかかっているものですから、「導入するからには使わないと!成果を出さないと!」みたいな声もよく聞きますが、使うことが目標になっては本末転倒です。
 現場の先生方が「どう使うか」の議論をもっとして、「いま授業でこういうの困ってるんだけど、これって何とかならないの?」「こういう授業をしたいんだけど、それを実現するアプリってないの?」と、自分たちでアイデアを出し合える、みたいな感じにならないと、教室に定着しないのではないかと思います。
 いまの教室で、あるいは今の紙と黒板で教えるスタイルで、なかなか教えにくいものを、ICTを使って教える、ということになれば、新しい教授スタイルもできるわけですから、先生方もワクワクとICTの導入を待てるのではないかな、と思います。

 ただ機器の使い方を習う研修ではなく、先生方のワクワクを刺激するような研修をしていきたいな、といつも考えています。
 先生方のワクワクが出てきたら、それを実現するのが、今度はICTなどのテクノロジーの仕事になるので、それから使い方を習っても、全然遅くないと思うんです。先生方のやりたい教え方をいかに実現するか、を一緒に考えていく、というのが次のステップかな、と。

 ICTはただの道具です。どんなふうな授業の助けになるのか、っていうのは、「こんなふうな授業をしたい!」っていう先生方の思い次第だし、そこからスタートしないと、やっぱりなかなか使われないと思います。
 最前線である先生方が「こんなふうに使ってみたい!」と声をたくさん挙げていただけるように、研修事業を行っていきたいと思います。